住み慣れた地域で最期まで暮らすために必要なこと

理事長 五反田 千代

特定非営利活動法人 あわホームホスピス研究会
理事長 五反田 千代

 現代の日本人は、「人はいつか死ぬ」ということを忘れてしまっているように感じます。また、加齢や病気で、人に助けを借りて生活するようになる時のことを考える機会も少ないのではないでしょうか。

 日本の家庭は、1970年代頃よりライフスタイルや経済力を欧米化し、日本独特の家制度、多世代同居を捨て、核家族化の道を歩みました。家族が離れてすむと、お互いの考えや日常習慣にずれが生じ、家族関係にも影響します。もし離れて暮らしていた家族が同居して、本人のために自宅療養を選ぶなら、十分な家族愛や熱意が必要とされるでしょう。自分自身が、病院と地域での訪問看護の両方を経験したことから、そのように実感しています。

 社会状況も一因となって、家族や血縁による介護は難しくなり、病院・施設で、医療介護のプロに面倒を看てもらうことが主流になりました。そして、世間一般の方は、介護が必要になった人は病院施設に行くしかないという先入観に支配されています。

 病院・施設で暮らすためには、自分の趣味や交友関係をあきらめ、大勢の入居者と共に、ルールに自分を合わせることになります。要介護状態が進めば、それにふさわしい施設に移ることになります。一箇所の施設で最期まで暮らすことは難しいのです。

 一方、当法人が推奨する自宅療養は、家族による介護は避けられません。そこで、専門のコーディネーターが、さまざまな医療介護の訪問や通所サービスを組み合わせてチームを作り、24時間を点と線にして、療養する方を支援するようになります。家族だけで、支える必要は無いのです。

 さらに、この10年で、自宅にもっとも近い環境で暮らす制度外の「ホームホスピス」という考え方が、全国に広がりつつあります。5人の入居者と6人の看護介護の専門職と医療福祉専門職員・近隣住民・ボランティアが協同するチームをつくり、その人らしい生活を続けながら、最期まで同じ場所で暮らし続けることができる仕組みです。自宅の環境により近い空き家を活用し、安心して、自分らしさを出せる規模の生活環境と人間関係を実現しています。

 このように多様で、多段階の療養場所、終の棲家が生まれています。
当法人では、人生のすごし方を納得して選び、一人暮らしでも病気でも、愛する徳島で自分らしく最期まで暮らすことを実現する一助となるような、仕組みづくりの活動を進めていくことを目指しています。

「終の棲家を自宅に選択する」ための在宅ホスピス緩和ケア普及啓発活動

◇豊かに生きる講座◇

元気なときに「もしも自分自身で暮らせなくなったときどうするか」を考える機会を提供します。「支えあえる地域づくり」を目指して、テーマごとに、情報提供と参加者同士のコミュニケーションを図ります。
「在宅医療という選択肢」「ホスピス緩和ケアの理念を正しく理解する」「人が死に逝く過程を知る」「病院と自宅をつなぐケアチーム」「リビングウィル・エンディング」

ケアボランティアの育成と活動

公的サービスの手の届かない部分のお手伝いができるよう、研究会独自のカリキュラムを修了した方を希望されるご利用者の方にコーディネートします

◇カリキュラムの内容◇

  • 当法人の理念とホスピス緩和ケアの概念
  • ボランティアの責務とチーム活動
  • 最期まで自宅で過ごす意味
  • 介護、傾聴トレーニング
  • 在宅医療と介護を知る

医療・介護・福祉機関や地域住民ボランティアとの顔の見えるネットワーク作り

あなたらしい療養生活を実現するためのケアチームが速やかに構成できるよう、日ごろから、顔の見える関係作りをしています。

とくしまの医療福祉情報の提供

終の棲家の選択肢や在宅療養の暮らしに役立つ健康医療福祉の情報を集め、一般の方の目線で情報を検索できるように発信していきます。

デイホスピスやホームホスピスの開設

<デイホスピス>

 がんや認知症の方、介護する家族が一時的に休める場所を設けるよう準備をしています。
 家族間や血縁、知人、主治医には、話せないことを第三者にうちあけて、闘病のために緊張した心身を開放し、日常を離れて心身を緩めることができる環境を備えます。

<ホームホスピス>※商標登録されています※

 民家の空き家を借りて、自宅では生活困難な1人暮らしの患者を、1軒に5名程度引き受けて、ヘルパーやボランティアが我が家的な雰囲気作りをしつつ世話をし、医師と訪問看護師が訪問ケアをするしくみです。
介護保険施設のように日常生活の困難度によって住み替える必要はありません、希望すれば、終の棲家として利用できます。
 以上のような制度外の「もうひとつの自宅」を開設するよう準備しています。